21 ひさしの出巾と遮光効果
ひさしの出巾を選定するには。遮光について。
①夏期 直射日光を遮り冷房負荷を軽減して省エネを図りたい。
②冬期 できるだけ陽射しを室内に取り入れたい。
地域によって異なる日照角度や開口部の高さに応じて出巾を選定して下さい。
各地の緯度と南中時の日照角度
緯度 | 夏至 | 冬至 | |
札幌 | 43.05 | 70.22 | 23.68 |
仙台 | 38.27 | 75 | 28.46 |
金沢 | 36.56 | 76.88 | 30 |
東京 | 35.68 | 77.59 | 31.05 |
大阪 | 34.68 | 78.59 | 32.05 |
鹿児島 | 31.57 | 81.7 | 35.16 |
建築家谷口吉郎邸のひさし
ひさしの出巾を選定するには。雨の振込み防止について。
①玄関、勝手口 へいせいアプローチ600。出巾が600mmとゆとりある設計のため
雨の日の建物への出入りに余裕が持てます。
②居室の窓、風呂場、台所の窓などに
スタンダードタイプ15用。へいせい15用。
サオ受け金具を取り付ければ洗濯物干しに。
家についている庇(ひさし)、
雨よけのためについていると思っている人が多いのではないでしょうか?
(私はそう思ってました・・・)
しかし、雨よけだけではなく、『夏』の熱い日射をさえぎる効果もあるんです。
なぜ、『夏』限定かというと、冬はちゃんと日光が入るようになってるんですね。
というのも、夏と冬で太陽の上がる角度が違うので、
夏の高い位置からの日射はさえぎりつつ、
冬の少し傾いた角度からの日射はさえぎらないようになっているんです。
庇の長さが、それを可能にしているんですね。
太陽の上がる角度は南にいくほど高く、北に行くほど低くなるので、
本来は同じ日本国内であっても、
地域によって庇の長さが違っていなくてはいけないんですよ。
また、庇をつける方角によっても違っていなくてはいけません。
もちろん、雨よけの意味も大きいです。
庇のついていない窓を開け放しておくと、
雨が降ったときに直接、雨が家の中に入ってしまいます。
庇がついている、ついていないで、ぜんぜん雨の吹き込み方が違いますから。
また、雨漏りは窓回りがおきやすいのですが、
庇がついているとそれを防ぐ効果もあります。
現在リフォームさせていただいているお宅は築50年ですが、
木製の雨戸の溝が今でも腐らず残っています。
これも庇の効果大だと思います。
ひさし(庇)の出幅について
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先日いただいた問い合わせです。
窓のすぐ上に付ければ出幅450mmでもある程度夏の日射は防げますでしょうか?(東京で、窓の向きはほぼ真南です)
(窓の高さ2600mm)
この問題はもしかして高校の数学で習った三角関数で解けるのではないか?
私の脳内にはサイン、コサイン、タンジェントという呪文が繰り返されたのでした。
しかしながら記憶の奥深くに眠り続けたままの遠い記憶は目を覚ますことなく
私は石川県工業試験場に電話したのでした。
「教えてくださいっ。」
しばらくして優しいファックスが。。
東京の夏至の日照角度は77.59°床から2600mmの高さに取り付けると
2600mm/庇の出巾mm=tan77.59°
庇の出巾=572mm
計算上572mm以上の庇が欲しいですので
やはりアプローチ600をおすすめします。
冬の場合、当時の日照角度は31.05°ですので
逆に日光が取り込めます。
このようにして無事問い合わせに答えることができました。